体感型教材シリーズ一覧




フックジョイントの不等速性



視認教材
フックジョイントの二次偶力



視認教材

■ 考案者略歴
   島田 清 略歴

1952年3月中華人民共和国湖南省にて生まれる
1970年4月青山学院大学理工学部機械工学科入学
1979年3月青山学院大学理工学研究科機械工学専攻修了(工学博士)
1979年4月日産自動車入社 中央研究所振動騒音研究室に配属
1985年4月日産自動車海外車両設計部へ異動(英国プロジェクト担当)
1990年4月日産自動車商品開発室へ異動(プリメーラ(P10)担当)
1996年4月徳島工業短期大学へ出向(自動車工学科教授)
2002年4月徳島工業短期大学へ転籍
2006年4月徳島大学工学部非常勤講師(自動車技術(2単位))
2009年4月徳島工業短期大学専攻科自動車工学専攻開設 学科長へ就任
2016年4月鳴門教育大学非常勤講師(設計製図(2単位))
2020年3月徳島工業短期大学定年退職


1.シリーズ教材名称の由来
複雑難解な機械の動きや特性を、理屈から理解させるのではなく、まず見せて触らせて興味を持たせ、現象そのものの全体像を把握させたのち、理論的な説明や解説を行うことで納得させる一連の教材であるため「体感型教材」と呼び、副題を「見る・触る・納得する」とする。

2.体感型シリーズ教材の目的
1)機械の動きを見せるだけの立体模型とは異なり、機械の動きや動きの中で条件により変化するものや周期的に変動する動きなど、複雑な動きを一目で理解できる表現手段を付け加えることにより、複雑な動きを直感的に理解させる

2)小人数学習において、学生自らが操作することにより、各々の学生が理解できる順番で学習でき、言葉だけに拠らず自ら体験的に学習させる

3)目に見えない物理量(例えば力や圧力など)を、ばねなどの変換機構により可視化することで、理論だけに拠らずに体感的に理解させる

4)騒音・振動など工学的に難解で、実機を用いることが難しく、かつ場合によっては危険な現象を教室レベルの環境で安全に体験・理解させる

5)教材をシリーズ化することにより、複数の異なる教材をグループ学習で使用することにより、少ない教材数で効率よく授業を構成できる

3.シリーズ教材の概要(今後さらに増やす予定)
1)フックジョイントの不等速性確認教材
@フックジョイントの不等速性を、回転角の変動として表示する機構を付加したことで、不等速性が一目で理解できる。回転角度の変動は1度単位で測定できる(作動角度30度では最大角度変動が4度となるが、その値が目視により測定できる)
Aフックジョイントを二組用い、ヨークの位相を合わせることで出力軸を等速にできることが確認でき、ヨークの位相がずれると出力軸に大きな回転変動が生じることを体験できる
B入力ハンドルに回転角度目盛りを付けたことで、入力1回転当たり二倍の周期の変動が生じることが容易に確認できる
C幅220mm、奥行き150mm、高さ100mmとコンパクトで学生一人一人の机上で操作できる
D学習効果を上げるために、学生2名または3名に1台の教材数が最適と考える
E教師用として、理論式及び数値計算したグラフ及び操作方法のマニュアルを添付

2)フックジョイントの二次偶力確認教材
@二次偶力とはどういうものかを、視覚的に観察できる教材Aと、自動車に多く用いられる二分割プロペラシャフト鋼製の教材Bの二つを一組として構成する
Aフックジョイントの二次偶力は、ジョイントを二個使用しても打ち消すことができなく、車体振動の基となりうることが、ジョイント軸受け部にばねを挿入し、力を変位に変換することで二次偶力が車体振動を生じさせることが視認できる
B二次偶力の大きさは、作動角度と入力トルクの大きさにより変化することが確認できる
C入力トルクの大きさは、出力軸に取り付けた摩擦クラッチの負荷を調整することで変化できる
D教材A:幅240mm、奥行き120mm、高さ90mm、教材B:幅300mm、奥行き150mm、高さ90mmとコンパクトで学生一人一人の机上で操作できる
E学習効果を上げるために、学生2名または3名に1組の教材数が最適と考える
F教師用として、理論式及び数値計算したグラフ及び操作方法のマニュアルを添付

3)圧力の基礎確認教材(試作品あり)
@注射器を利用したシリンダピストン機構に、切り替えバルブ、圧力計(連成計)を配管し、シリンダフォルダなどを取り付けた装置で、圧力の単位であるパスカル(Pa)の基礎が体験できる
Aニュートンばねばかりを使用することで、圧力の測定と計算から求められる圧力の比較ができる
B正圧及び負圧の両方が測定でき、実際に自ら加えた力が圧力に変換されることが体験できる
C圧縮比の意味が、実測及び計算の両方を行うことで体験的に理解できる
D幅300mm、奥行き200mm、高さ145mmとコンパクトで学生一人一人の机上で操作できる
E学習効果を上げるために、学生2名または3名に1台の教材数が最適と考える
F教師用として、理論式及び数値計算したグラフ及び操作方法のマニュアルを添付

4)パスカルの原理確認教材(構想中)
@一般的な教材は作動流体として液体を用いるが、本教材は空気を用いることで、取り扱いが容易
A小シリンダ、中シリンダ、大シリンダを切り替えバルブで配管してあり、自由に連結できる
B付属の重りとばねばかりを組み合わせることで、各種の実験ができる
C使用時寸法が幅300mm、奥行き200mm、高さ200mmとコンパクトで学生一人一人の机上で操作できる(格納時は高さが100mm)
D学習効果を上げるために、学生2名または3名に1台の教材数が最適と考える
E教師用として、理論式及び数値計算したグラフ及び操作方法のマニュアルを添付

5)小型タイヤシミュレータ(1次試作品あり)
@模型用中空タイヤを使用し、スリップアングルを付けた時のタイヤの横力発生の様子が視認でき、スリップアングルと横力の関係が測定できる
A制動中のスリップ率と制動力発生の様子が視認でき、スリップ率がある値で制動力最大となり、タイヤをロックさせると制動力が低下する様子が視認できる
Bスリップアングルを付けた状態で、制動力を発生させると横力が減少し、タイヤがロックすると横力がゼロになることが視認できる
C幅450mm、奥行き250mm、高さ250mm重量約50Nとコンパクト
D学習効果を上げるために、学生3名または4名に1台の教材数が最適と考える
E教師用として、実際の測定値・グラフ及び操作方法のマニュアルを添付

6)車両の旋回特性シミュレータ(構想中)
@1/24程度の四輪自動車のシャシーモデルを円旋回シミュレータ上で自走させ、遠心力が作用したときに車体にスリップアングルが発生してバランスをとり、旋回半径を維持する様子が視認できる(実際は遠心力の代わりにばね力を使う)
AFF方式のモデルでは、アンダーステアが発生し、旋回半径が大きくなることが視認できる
BFR方式のモデルでは、オーバステアが発生し、旋回半径が減少し続けスピンに至る様子が視認できる
C幅1,000mm、奥行き500mm、高さ250mm重量約100N
D学習効果を上げるために、同時に観察できる学生は数名以内が最適と考える
E教師用として、ニュートラルステア、アンダーステア、オーバステアの理論解説と装置の操作方法のマニュアルを添付

7)車両旋回中のロール再現教材(構想中)
@旋回中のロールの様子が、各種サスペンション形式毎に視認できる(車軸懸架、ストラット式及びウィッシュボーン式)
A前後でサスペンション形式が異なり、ロールセンタの高さが異なる場合、旋回中の車体挙動がどうなるかが視認できる
B本教材は、円旋回シミュレータ本体は上記6)のものを使用する(車両モデルが異なる)

8)旋回中のディファレンシャルの作動確認教材(構想中)
@旋回中にディファレンシャルが作動する様子が、旋回半径毎にどのようになるかが視認できる
A幅300mm、奥行き200mm、高さ200mm重量約30N
B学習効果を上げるために、同時に観察できる学生は2名または3名1台の教材数が最適と考える
C教師用として、装置の操作方法のマニュアルを添付

9)梁の振動モードシミュレータ(試作品あり)
@直径1~2mmのピアノ線を梁とみなし、小型音響スピーカーを改造した加振機により1〜数百Hzの加振が行える
A加振端は固定または単純支持、端点は固定、単純及び自由支持が選択できる
B条件により1次〜7次程度までの振動モードが観測できる
C振動モードの節及び腹の位置が確認できる
D理論計算式と実測値の差異を検証できる
E幅120mm、奥行き50mm、高さ450mm重量約10N
F学習効果を上げるために、同時に観察できる学生は2名または3名に1台の教材数が最適と考える
G教師用として、実験測定結果及び理論計算式及び装置の操作方法のマニュアルを添付

10)プロペラシャフトの危険速度シミュレータ(試作品あり)
@直径1mm及び1.6mmのピアノ線をプロペラシャフトに見立て、分割なしと2分割プロペラシャフト及び曲げ振動用のシャフトの構成からなり、回転速度60〜4000min-1の範囲で運転でき、プロペラシャフトの危険速度でのシャフトの振れ回り共振の様子と、振れ回り共振が梁の曲げ共振と同一の周期で起きかつ振動モードも同じ形状であることが視認できる
A分割なしのプロペラシャフトと2分割式での危険速度の違いが計測できる
Bフックジョイントを用いたプロペラシャフトの場合、フックジョイントの不等速性などの影響で、危険速度の半分の回転速度で、微小な共振が生じることが観測できる
C国土交通省指定の危険速度の計算式の妥当性が検証できる
D幅600mm、奥行き150mm、高さ125mm重量約30N
E学習効果を上げるために、同時に観察できる学生は数名以内が最適と考える
F教師用として、実験測定結果及び理論計算式及び装置の操作方法のマニュアルを添付

11)騒音特性シミュレータ(1次試作品あり)
@4W+4Wの小型スピーカーと、発振器、アンプなど2セットからなる装置で、騒音特性の基本的特性が視聴できる
A同音量の音源があった場合、騒音測定値(dB)は+3dBとなるとされるが、実際上+3dBがどういう意味かが各種周波数の音で体感できる
Bわずかに異なる周波数の音が同時に発音すると、いわゆるビート音が発生するが、周波数の違いによりビート音がどのように聞こえるかが視聴できる
C騒音のマスキング効果が体感できる
D完全に逆位相の音が同時に発音すると、お互い打ち消しあう、いわゆるノイズキャンセル効果が生じるが、その原理と実際が体感できる
E騒音計を同時に使用すると、より具体的な理解ができる(ただし教室によっては、反響が大きくて測定できないことがある)
Fサイズはアタッシュケ−スに一式が収納できる
G反響の少ない教室であれば同時に40名ほどが体験できるが、より正確な理解をするためには、音量を絞って数名のグループ学習が好ましい
H教師用として、装置の原理と構成図並びに操作方法のマニュアルを添付
以上